胃と腸の動き

胃はどうして馬蹄形(ばていけい)なのでしょうか。なぜ大彎(たいわん)側からくびれ込むように動くのでしょうか。腸はなぜうねうねと収縮が伝わるのでしょうか。その仕組みの秘密について実験しましょう。

蠕動と分節運動

人工腸液を作って胃や腸の形と動きの秘密を調べてみましょう。

人工腸液

砂糖水に色を付けて人工腸液を作る。砂糖は水にたくさん溶けるので、とても重い液を作ることができます。色付きの重い液と水道水が混ざる様子を観察してください。

 

<作り方>

水100mlに砂糖を100gの割合で溶かして食紅を入れる。かなり濃い目に色を付けた方がわかりやすい。実験の後砂糖水を捨てるのであれば絵具なのでも構わない。

栄養ドリンクを使っても食紅砂糖水と同じように実験できる。

食紅砂糖水30ml(大匙2杯)を胃の模型や腸の模型に入れる。次にスポイトなどを使って牛乳20ml(大匙1杯小匙1杯)を静かに入れる。上手に入れると牛乳は上、食紅砂糖水や栄養ドリンクが下になりきれいに2層に分かれる。少し混じっても大丈夫。

胃の模型

小さいビニール袋を2枚用意する。

1枚はそのまま、もう1枚は下隅をそれぞれ丸結びして使う。

それぞれの袋に人工腸液を50ml入れ、そこにそっと牛乳50ml注ぐ。2層に分離するように注意深く操作する。

袋の下の中央部を下から指でぎゅっと押し込む。何回押し込むと混じるかを数える。

腸の模型

傘の使い捨てビニール袋や、フランスパンのビニール袋など細長い袋を用意する。この袋に10㎝おきに紐(30cm)をセロテープで張り付けて紐の両端をくくって輪にして、吊り下げ紐にする。重りとして紐にクリップを付ける。

ワイヤーハンガーに吊り下げ金具を7~8㎝間隔で取り付け、吊り下げ金具に吊り下げ紐をかけて腸の模型をセットする。

袋の端に小さな切れ込みを入れて人工腸液(食紅砂糖水30mlと牛乳20ml)を入れる。

何回操作したら人工腸液と牛乳が混ざるか予想する。吊り下げ紐を順番に外して人工腸液と牛乳を袋の端まで移動させる。端まで行ったら逆方向に送る。

実験の説明

牛乳は水より少し重いだけなので、水を人工腸液にするとすぐに混じってしまってうまく実験できない。砂糖は20℃の水に約200g溶けるので約67%の砂糖水溶液を作れる(この時の比重は3.0)。砂糖を作るといろんな比重の水溶液を簡単に作れるし、砂糖はほとんどの物質と反応しないので、液体の中の成分を比重を使って分離するためによく利用する。

液体(溶媒)に何か(溶質)を溶かすときに、実験などではぐるぐるかき回すことが多い。でも体の中ではぐるぐるかき混ぜることができない。胃の模型では指で押すことで溶質を溶媒に溶かすが意外に早くよく混ざる。これは胃の模型の中で乱流が発生するから。水道から出てくる水は一方向に流れていくが、乱流は渦巻いているのでとても良く混ざる。

乱流はさまざまな渦巻きとして見つけることができる。液の混ざる様子を目を凝らしてよく観察すると小さな渦巻きをたくさん発見できる。できた渦巻は少し移動して消え、また別の場所にでき、リズムがあるようでない。渦巻の秘密はまだよくわかっていないところがあるのでいろいろ考えてみよう。

腸の収縮拡張運動が分節運動を作るが、それを実験で実現することは難しい。ストッキングにボールを入れて絞って送ることで腸の輪状筋が収縮して腸内容を押し出す様子を再現しているように見えるが、多くの人では横行結腸までその内容は液体が主体である。絞り出すというよりも、収縮によって気体と液体が混じった腸の中身に圧勾配(部分的な圧力の差)を作りだし、強弱のある流れをつくる。強弱があることで乱流が発生し効率的に拡販され、消化吸収が進むと考えた方が良い。乱流の詳しいメカニズムはまだよくわかっていないことも多いが、移動するときの抵抗、物を加熱したり冷やしたりするときの効率、均一に混ざった物質を作る方法などたくさんの分野で大切なので、ぜひ考えてほしい。

腸の収縮が伝わる様子はプログラミングでシミュレーションすることができる。

1)収縮する(長さが変わる線)を横軸上に左から右へ並べる。

2)収縮するとしばらくは収縮できない(最大長のまま)。

3)隣が収縮すると収縮する。

4)収縮にはある程度時間がかかり60%の長さになる。

以上をパラメータを変えていろいろ試してみよう。

縦棒グラフを使い、要素数は10個、左端から順に長さを計算して(収縮らしく見せるには100%から10%ずつ減らして60%になったら20%ずつ増やす。要素数は20個以上にする。データをセットしたらグラフを描画する。これを28回以上繰り返す。グラフは同じ場所で書きなおした方が収縮感が出る。)