筋肉の動き

筋肉には平滑筋と横紋筋と心筋があります。見た目の違いと働きによって3種類に分けていますが、分子レベル(ものすごく小さなレベル)での収縮する仕組みは同じですが、細胞レベル(顕微鏡で見えるレベル)ではそれぞれの役割に添うように構造が違います。

解剖

アクチンとミオシン

筋肉の収縮はアクチンとミオシンの反応で行われます。収縮のイメージをアニメーションでお見せします。横紋筋の筋肉の単位がサルコメア。サルコメアはミオシンの頭の動きでアクチンを手繰る(たぐる)ことで収縮します。

横紋筋

横紋筋は全身の骨格筋です。大きな力を出すことができますが、長時間使うと疲れてしまいます。大きな力を出せるのはアクチンとミオシンが整然と並んでいるからです。たくさんのアクチン・ミオシンのセットが並列することで、まるで綱引きやボートレースのように強い力を出します。ミオシンの一度の動きではわずかの距離しか動かせませんが、サルコメアを直列に配列することで大きな距離を動かせます。サルコメアを並列に配列することで大きな力を出せます。ちょっと乾電池に似ていますね。

横紋筋の特徴は整然と並んだアクチンとミオシンの働きで大きな力と長い距離の収縮を可能としていること。でも一度に多くのアクチンとミオシンを動かすためにはたくさんの栄養が必要だし、老廃物も多くなる。このため横紋筋は平滑筋に比べてずっと疲れやすい。

平滑筋

平滑筋は消化管に使われている。横紋筋と違ってヒトの意思でその収縮をコントロールすることはできない。細胞内にアクチンとミオシンが整然と並んでいないので、光学顕微鏡ではその存在を確かめにくい。収縮力は弱い。長時間使えるとも言われるが運動実験を行うとそれなりに疲労はある。

心筋

心筋は生まれてから死ぬまで絶えず動き続ける。このため横紋筋に構造は似ているが特に代謝系が発達しておりミトコンドリア量が多く、冠動脈系という栄養血管(心筋に栄養を運ぶ血管)が発達している。心筋に届けられる血液は1日360lにも達し、45lもの酸素を消費していると言われる。

てこと滑車

筋肉の働きの大部分はてこと滑車で説明できます。滑車は下のクレーンではアームの先につけられたくるくる回るものの名前でもありますが、力の向きを変えるという意味です。身体の中にも滑車という名前のものがあります。

腱と腱鞘

腱と腱鞘はコラーゲンを主体とする組織で、小さな弾性(伸び縮みする性質)を持つ。表面がつるつるしているので力を伝える組織として適している。筋肉は血流が多く思いのでなるべく体の中心に近い所に配置した方が動かしやすい。そこで手の指を動かす筋肉は主として前腕にあり、そこから腱が伸びて指の骨につながっている。力を加えた時に腱がいろいろなところを通るとそこにある組織にダメージを与えるので、腱は腱鞘の中を通り、腱鞘は通過する部位の最寄りの骨に固定されている。人間の体はとても合理的にできており、合理的なので生き延びることができたという淘汰的な進化論を生み出したが、合理的な発達を促進する仕組みがあると考えた方が良いのではないかと思うほどに洗練されている。

上図は簡単な模型を作ることで動きを確かめられるので、ぜひ作ってみよう。