管理者とデータ解析者が必要です。
管理者は医療システムの知識と、プロジェクトマネージメントおよびデータ解析の基礎知識が必要です。データ解析者が作成したデータをもとに、医療機関管理者への提言をまとめます。
データ解析者はレセプトの構造、電子クリニカルパスデータの構造、病院情報システムの概要の知識が必要です。
レセプト解析では疾病(DPC)毎の投入資源頻度・量の解析、診療期間中に発生した傷病名の解析、入院期間、入院待期期間、手術時間、手術中出血量、薬剤投入量と頻度、画像診断頻度などの定期的レポートと、診療ターゲットに合わせた解析を行います。
会計システムと医療機関情報システムからデータを抽出し解析します。医療機関情報システム(電子カルテ)がクラウド型でデータを自由に扱えない場合はベンダーと相談しましょう。
実名情報で解析する必要があり、システム内に隔離領域を作成します。
解析はどのようなシステムで行っても構いませんが、エクセルでは小規模施設以外不可能でしょう。RDBとプログラミング言語で実施するのが最も安価ですが、外部と隔離することへの注意が必要です。つまり環境構築後のアップデートはとても困難です。
質向上についての提言をもとに業務改革、組織改革を遂行し、その成果をデータで確かめる必要があります。業務改革は部門に委ねることも可能ですが改革の進捗管理を誰が行うか決めましょう。
組織改革については医療機関責任者(経営陣)が率先して進めることになります。言い換えると組織改革の進捗には客観的立場が確保しにくくなります。外部の有識者やコンサルタントに委託することも良いと思いますが、住民や患者から公募するのも面白いと思います。
指標 | |||
外来 | 体制 |
医師の連続外来担当時間 患者一人当たりの診察時間 3分以内の診療患者数 時間当たりの予約患者数 予約外診療数 ・・・ |
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医療 |
<診断> 患者一人当たりの病名数 急性疾患の3カ月以上継続数 新患1か月以内の診断病名数 <処方> 患者一人当たりの処方数 医師当たりのdo処方数 診療科当たりのdo処方数 <検査> 血算・血液生化学・尿・便検査数 培養検査数 画像診断数 生理検査数 <連携> 被紹介患者数 他院紹介患者数 院内紹介患者数(リハビリを含む) 栄養指導数 ・・・ 薬剤濃度測定率
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臨床指標は他院と比較しやすい一般的な数値ですが、医療の質改善に用いる指標は医療機関の性格、患者性年齢分布、季節、疾患に応じて適切なもの、適切な値の範囲が変わります。得られた数値から経営方針を考えるのではなく、向上させたい医療の質を表現できる指標は何かを考え、目標値というより現在よりも増加させる、減少させるといった方向性で考えましょう。