付加価値型(研究型)の戦略

医療機関における研究型の付加価値とは、医学的に正しいことを適切に行ってくれているだろうというイメージを住民と地域医療機関に持ってもらう戦略です。医療の質改善が保証しながら付加価値の向上を目指すべきです。付加価値の指標として満足度を用いることは適切ではありません。満足度調査は改善すべき点を探す「潜在ニーズ調査」として使うべきです。つまり満足度調査は高いと良いのではなく、他よりも低い項目を探すために行うものです。一方付加価値は、現状の満足のさらにその上を目指すために、あるいは「これだけのことをしているのだから、他のことも全て高いレベルなのであろう」と思ってもらえるようにする戦略です。

付加価値(研究型)のキーとなるのは症例報告、臨床試験、有害事象報告、診療情報提供書、公開講座です。これらを市民、患者、地域医療機関従事者、行政、学会などへどのように報告していくかを考えましょう。医療機関の特性に応じて戦略が変わりますので概要を説明します。

診療情報提供書

診療情報提供書は個人情報ですので、紹介先との1対1の情報伝達になります。つまりイメージの大幅な向上を図れますが、効果は小範囲にとどまります。

付加価値戦略において、診療情報提供書で訴えるべきことは知識と思考能力の高さです。つまり鑑別診断とその根拠を明確にしましょう。治療法選択の根拠を示しましょう。経過については「定型的経過と異なる部分は〇〇です」と書きましょう。

診療情報提供書は当該患者さんにかかわっている全ての医療機関に送付しましょう。個別に違う文章を作成するよりも、一つの文章にすべての医療機関への文章を書き連ねましょう。

 

診療情報提供書<例>

2型糖尿病に対してDPP4阻害薬、SGLT2阻害薬の併用で管理してきましたが、OGTTでのインスリン分泌不良であることからインスリンを導入しました。

〇〇眼科御中

眼底検査を年1回以上お願いします。

〇〇歯科御中

口腔ケアを年2回以上にお願いします。

診療情報提供書は特別な事情が無い限り、患者さんにコピーを渡しましょう。必要に応じて口頭での説明を付け加えてください。患者さんによる口コミは医療者の想像以上に大きな影響力を持ちます。

有害事象報告

有害事象によって投薬を中止したり変更した場合は必ず院内で患者さんに向けて報告しましょう。

有害事象報告書(例)
2019年5月に抗生剤〇〇による有害事象がありました。肩こりを訴えられ、検査でAST,ALT,CKの上昇を認めました。投薬を中止し2週間で治癒しました。抗生剤ではまれに起こる有害事象ですので、体調に異常を感じた際は遠慮なくお申し出ください。 

有害事象は嫌なものです。特に針刺しでの神経麻痺などは公開したくないものですが、それを対策とともに報告することは付加価値戦略におけるイメージ向上に重要な役割を果たします。ぜひ積極的にご活用ください。

重大なものについてはPMDAに届け出てそれを院内に報告しましょう。

公開講座

医療機関の医療レベルをアピールする絶好の機会です。職員全員に順番に発表させても良いと思います。

住民(患者)向け講座は必須です。疾患と療養のアドバイス、診断のポイントなどを説明していきます。原則的には自院の職員が講師を担当しますが、以前勤務していて有名になった方、地域の有名人・専門家などに講演してもらう事も有効です。地域の専門家に依頼する場合には、「良く紹介してもらっています」とか、「尊敬している〇〇先生の依頼なので駆け付けました」などと言ってもらえると効果的です。

公開講座の頻度は医療機関ごとに事情があるでしょうが、定期的に開催することがとても重要です。演目は1年たてば繰り返しても構わないでしょう。

職員が講師を務める場合は予行を必ず実施し、内容のチェックも大切ですが、分かりやすい話し方と内容となるように職員相互にアドバイスしましょう。